音楽コラム <Vol.16> 寄稿:ノイリー・プラット

Music&Live RUFFHOUSE

2021/10/08 17:24

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浅川マキ、15年越しの再会

ノイリー・プラット



その声とは、ある日突然出会った。たまたまつけたラジオから、わたしの耳に飛び込んで来たのだ。普段流れているような、キラキラしたポップスでも歌謡曲でもなく、かといって演歌でもない独特のかんじ。しゃがれた声の女の人が静かに歌うその曲は、あっという間にわたしの心を鷲づかみにした。


わたしは待った。右手に鉛筆を握りしめて待った。DJがその曲のタイトルを告げてくれるのを。しかし、曲が終わるとそのままCMに突入してしまったのである。そしてみなさまのご想像どおり、CM明けには一度もその曲について触れられることなく番組は終わってしまったのであった。


今ならラジオ局のWEBサイトを調べるとか、流れている最中に音楽検索アプリを起動するとか、曲名を知る手段はいろいろあるでしょう。もちろん当時でも、ラジオ局に電話して聞くという奥の手があったのだけど、こどものわたしは知らなかったのよ。そのときはものすごく落ち込んだけど、小学生の毎日なんて新しいことだらけなので、少しずつ興味はほかのことに移っていきました。


それから約15年。当時はミュージックバーだったRUFFHOUSEで、ふいに流れて来たのです、あのときの曲が。それはもう鳥肌もので、背筋にビリビリっと電気が走って、当時の記憶がブワァッと蘇るような瞬間でした。もちろん、食い気味で聞きましたとも、この曲のタイトルを。


あの頃のわたしに教えてあげたい。あんたは将来酒飲みになって、地下のバーであの曲にまた出会えるから、もう泣かんときって。


それではお聞きください。
浅川マキで「それはスポットライトではない」


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