音楽コラム<vol.51> 寄稿:デビッド近藤
元祖クロスオーバー、星の数ほどのヒット曲のレコーディングに参加した名手 「デビッドTウォーカー」
今回は、満を喫しての筆を取り、僕の大好きなギタリスト「デビッドTウォーカー」のことを書いてみたい。
彼は現在、ゆうに70代の大台に乗る、歴史的なギタリストで、大学生の時にエタジェームスのバンドで、ライヴレコーディングを行ってから、R&B ジャズファンク、ジャズなどを皮切りに特にアメリカのヒットチャートを彩る、数々のポップスの名曲の演奏に参加した、宝石箱のようなギタリストである。
その演奏の特徴は、独特のボイッシングによるギターコードのバッキングの音色&音質(よく、小鳥のさえずりに例える人がいる・・)
メロディーを単音で奏でる際には、まさに「人の声」そのものの、息づかい、抑揚、強弱をつける、これまた、独特のタッチで、真似をすることのできない演奏をする、アナログ盤全盛期における、アメリカのヒットチャートにおいて引っ張りダコの人気ギタープレイヤーである。
数々のセッションを経て、ロス拠点の頃のモータウンのギタリスト時代、ソロ作品、特にOdeでのインストのソロ作品は人気がある。
そのバッキングをしたアーティストを挙げると・・・
エタジェームス、アリサフランクリン、スティビーワンダー、マイケルジャクソン(ジャクソン5)、マーヴィンゲイ、レイチャールズ、スモーキーロビンソン、ダイアナロス、フォートップス・・
キャロルキング、バーバラストライサンド、ビーチ・ボーイズ、ママス&パパス、ジェームスブラウン・・
ジャズ系では、シャーリースコット、マヘリアジャクソン、ドナルドバード、ナンシーウィルソン、ジョーサンプル、クルセーダース、はては日本のミュージシャンでは野口五郎さん、井上陽水さん、上田正樹さん、クンチョーさん、スマップ、ドリカム、バンドオブプレジャーなどなど、とても、一ヶ所に書き込みできない数である。
そして、何を隠そう、この僕も彼の演奏、作品、彼自身を追いかけ捲った一人である。
まず、生まれて初めて親に買ってもらったLPレコード(上田正樹さん)の演奏にデビッドが参加していたというところから、運命的だなぁ、と勝手に思っている。その後、自分自身が音楽の道を歩み出し、彼の参加しているレコードをレコード屋さんを巡りまくり、雑誌などを調べ捲った思い出がある。特に、当時はインターネット、YouTubeなどはないので、今に比べ、かなりの労力を費やし、ギターコードなども試行錯誤しながら模倣した。
最後にデビッドTの、僕の中の一番の思い出は、彼が初めてリーダーバンドで大阪に来た際に、僕はナンシーウィルソンのレコードを持参し、彼に会うので、スーツで正装で香川県から会いに行き、レコードにサインをいただくことができた。
それから数年後、香川県の音楽仲間と録音した、自分のアルバムを、高松のマリーナショウのライヴで、彼に手渡せたことが、すごく嬉しい思い出である。
これからも、僕は彼の演奏を愛し続けるし、レコードの棚から引っ張り出し、繰り返し聴くだろう。
そして、人生が終わっても、彼の音色は忘れないだろう。