音楽コラム<vol.95> 寄稿:デビッド近藤

Music&Live RUFFHOUSE

2024/02/24 14:57

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「時の流れ〜音楽 レコード…記録」



ずいぶん、久しぶりにこの「RUFFHOUSE音楽コラム」を書くために筆をとります。前回はなんと2022年の投稿ではないか!!!!ご無沙汰をお許し下さい!

さて、このコラムに僕は各会ごとに一人の音楽家にスポットをあてて書かせていだだくことがほとんどだったが、今回は音楽ツールで最近再びスポットライトがあてられる(なんと古い表現か…?)(レコード)について書いてみたいと思います。

僕は万博の年1970年生まれだ。あの時代は戦後高度成長期がクライマックスを迎え、外国に追いつけ追い越せの日本の金字塔の時代で。音楽に関しても最も面白かった時代ではなかっただろうか…?

日本ではベンチャーズの影響でエレキギターブームがあり、ビートルズの来日が66年にあり、洋楽が日本の若者にとって最も「ヒップ」だった。それらを真似てコピー商品とすることによりGS(ガソリンスタンドではなく、グループサウンズです)が生まれ、日本のロック音楽につながることになるわけである。

その世代が僕らのちょうど親の世代で、具体的に言うと「プレスリー」、「ビートルズ」「ローリングストーンズ」にリアルタイムで熱狂的になった世代。僕、僕たちの世代はその二世で、もろに親たちの影響を受けて…おそらく洋楽に憧れた最後の世代ではないだろうか?
 

当然、音楽に目覚めた中学時代、音楽を聴くツールは「レコード」「カセットテープ」「ラジオ」「MTVなど」が最初だった。まず、ラジオでチェックしたサウンドをカセットテープに取り込み何度も聴いて、気に入れば「レコード屋さん」に走るのである。

現代のようにYouTubeやSpotifyでアルバムの曲をスクロールですべてチェックしたりできないので、いざレコードを買って家で聴いても、ラジオで気にいった曲以外ハズレ…といったこともあった。その逆で、ラジオで聴いた曲のタイトルがわからないまま、アーティスト名だけで最新のLPを購入し、家で聴いたらお目当ての曲が入っておらず、よくよくあの手この手で調べたら、そのアーティストの昔の代表曲だったこともあった。(ちなみにその曲はスティービー・ワンダーの「愛するデューク」だった。)

しかし、その後もfm番組やfm雑誌、音楽の専門誌で得た情報をもとにレコード屋に行く習慣が身につくことになり、どんどんディープに音楽を掘り下げていった。ロック〜からBlues、Soulまで、高校生の時には今から考えると、かなりのクラシックロック通だったと自分でも自負している。時間はあったけど、お金はなかったので「レンタルレコード屋さん」にはずいぶん助けられた。レコードを買って冒険し、空振りをすることから守ってくれたシェルターのような場所だった。(シェルターだけにシェルターから出たレオン・ラッセルのレコードも借りました☺)あと、貸しレコード屋さんには必ずカセットテープが置いてあり、財布と相談しながら購入〜〜fm雑誌のインデックスに曲名を書クのが楽しい時間だった。僕はBBキングのカセットテープも山下達郎のようなデザインでカセットテープをデコレーションした。

高校生の頃になると「コンパクトディスク〜CD」の波がやって来て「CDゾーン」というfm番組まであったと記憶している。音楽が音からデータになった時代の幕明けだったが、CDも僕は大変愛着がある。その頃から輸入レコード屋に出入りするようになり、少しずつ…少しずつ…レコードのコーナーが追いやられて行くことになるが、その頃は新しいメディアのコンパクトディスクの長い箱のパッケージに入って売られていた、ゲイトマウスブラウンやロニーマック、ロイブキャナンのようなアメリカの音楽に夢中になるうちに気がつけば21歳になっており、大阪でバンドしかやらない生活を送っていた。今考えると、あの中学時代に音楽に目覚めた時に自分の人生を方向性が決定されていたと思う。


さらにマニアックにコーネル・デュプリーが参加しているレコード、デビッドtウォーカーが参加しているレコード、ロベン・フォードが参加…ワーワーワトソン…スピノザ…グラントグリーン…シカゴブルース…ジャズファンク、ソウルジャズなど…音楽の探究が今も続いてしまっている。たぶんギターを弾いて演奏することと同じくらい、いやそれ以上に聴くことが好きなのだと最近思う。


今思うと、苦労して探した音源は何度も聴いたしコピーもしたと思う。80年代はライトニンホプキンスの動く映像など存在は知っていてもなかなかビデオなど手に入らなかったし、海賊版のvhsなどで苦労して、初めて映像を目にしたミュージシャンもいた。(キングカーティスとか、ダニーハサウェイの動くやつ)苦労して探したものは、何度も何度も楽しんでいた。


今はYouTube、Spotify…情報の洪水の時代だ。スクロール、ワンクリックでたいていのマニアックなものでも色々な音源、映像演奏がすぐに観られるし聴くこともできる。演奏技術に関してもワンクリックで、プレイバックし放題で演奏フォームなどもピンポイントで研究出来るし、すぐにたどり着くことができる。


これらは良いことだし、利用しない手はないと思う。しかし、僕らの世代の若いころのように、あれこれ苦労して探す時間の中で別の素晴らしい音源に出会うこと、または、苦労して苦労して試した演奏の中で目指してなかったけど身につく別の演奏の仕方…まわり道、遠回りには「未知の宝石」が必ずあることも事実だと思う。心から思う。


時間の流れは時代の移り変わりになり、記憶は記録(レコード)となる。

最後に心から伝統的なカントリーやブルーズやROOTS音楽を心から愛し、演奏してくれる若者が一人でも多く出て来てほしいと、心から思う。


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