音楽コラム<vol.97> 寄稿:わかばやし

Music&Live RUFFHOUSE

2024/04/29 11:02

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「ハワイアンギターの魔術師 〜 Casey Bill Weldon~」

 

皆様ご無沙汰しております、わかばやしです。

今回ご紹介するのは、「ハワイアンギターの魔術師(The Hawaiian Guitar Wizard)」の異名を持つWilliam “Casey Bill” Weldonです。(画像右側)

Casey Bill Weldonは1920年代後半から1930年代にかけて主にシカゴで活躍したラップスティールギタリストで、スティールギターの録音を残した最初期のミュージシャンの一人として知られているミュージシャンです。
シカゴに向かう前にカンザスシティでも活動していたことから「Kansas City → K.C. → Casey」とのニックネームが付いたと言われています。

 

冒頭で「ハワイアンギターの魔術師」とご紹介した彼ですが、以前ご紹介したKing Benny NawahiやSol Hoopiiのようなハワイ出身のミュージシャンのようにハワイの曲は演奏しておらず、ブルース、ジャンプ&ジャイブ、ジャグバンド、ホウカム、スウィングといった1920~1930年代の黒人音楽を代表するジャンルを中心に演奏していたようです。

 

スティールギターとヴォーカルにピアニストを加えた所謂シティ・ブルース系の録音、またはMemphis Jug Bandの主要メンバーとしての録音が中心ですが、それだけでなく、Bumble Bee Slim、Peetie Wheatstraw、Memphis Minnieなど多くの有名なブルースミュージシャンを支えるサイドミュージシャンとしての録音も残していたようです。

・Casey Bill Weldon-I Believe I'll Make A Change


ラップスティールギター奏者として多くの演奏を残した彼ですが、作詞作曲家としても優れた曲を残しており、後世のブルースやジャンプ&ジャイブ界の大御所、Louis JordanやB.B.Kingがカバーし、今でも多くのミュージシャンに愛されている大スタンダード曲、”Somebody Changed The Lock On My Door”、“We Gonna Move To The Outskirts Of Town”などの名曲を残しました。

・Casey Bill Weldon - Somebody Changed The Lock On My Door 


・Casey Bill Weldon - We Gonna Move (To The Outskirts Of Town) 

 

 

これらの録音を若き日のLouis Jordanらが聴いていたと思うとわくわくしますね。

 

ブルース系の録音が中心でハワイアン風の演奏はあまり残していないですが、敢えてハワイ出身のKing Benny NawahiやSol Hoopiiと似たような演奏スタイルを挙げるとすれば”Guitar Swing”、”The Big Boat”辺りが近いかと思います。

・Casey Bill Weldon - Guitar Swing


・Casey Bill Weldon - The Big Boat


彼のこういったスウィンギーな演奏スタイルはウエスタン・スウィングを代表するスティールギタリストのLeon McAuliffeらにも影響を与えたと言われています。
Leon McAuliffeの代表曲”Steel Guitar Rag”はWeldonの”I Believe You’re Cheating’ On Me”のイントロにそっくりだったりします。

・”Casey Bill” Weldon - I Believe You’re Cheating’ On Me

 

アメリカンルーツ音楽を掘り下げていくと色々なジャンルでその影響が伺えるCasey Bill Weldon、これをきっかけにお聴きいただけると嬉しいです!

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