音楽コラム<vol.99> 寄稿:嶋田エイジ
「米津玄師と、虎に翼(エッセイ)」
NHKの朝ドラ「虎に翼」が実に面白い(笑)
出演者も脚本もテーマも主題歌も全てが素晴らしい。
別に朝ドラファンという程ではない。
この前までやっていた「ブギウギ」を面白いという知人が多かったが、
自分はさっぱりハマらなかった。
15分間ちゃんと見た回が、ほとんどない。
自分の場合、ドラマを見始めるキッカケは
「好印象を持っている人が関わっているかどうか」
があるように思う。
宮藤官九郎脚本ということで見ていたドラマ「11人もいる!」に
有村架純が長女役で出ており、
「あまちゃん」に出てきた時は出世するかも?と思った。
「あまちゃん」に出てきた時は出世するかも?と思った。
その有村架純キッカケで見ていた朝ドラ「ひよっこ」に、
米子(よねこ)役で出ていたのが伊藤沙莉だった。
お笑い要素の強い役柄で、彼女の出演シーンを毎回楽しみにしていた。
赤い公園の「恋と嘘」のPVに出てきた時は、役柄とのギャップに戸惑ったものだ。
彼女が好きなので必然的に「虎に翼」を見はじめる。
面白いので、そのまま見続けている。
お昼の時間にリアルタイムで見ているので
必然的に米津玄師の「さよーならまたいつか!」を毎回聴くことになる。
で、その度にすごく感心してしまうのだ。
歌詞に…
初めて聴いた時はメロディに意識がいっていた。
ROCKIN'ON JAPANを読んでいたので、米津玄師はデビュー以来聴いていたが
歌詞はあまり頭に入ってこなかった(申し訳ない)。
今回もサビの出だしメロディに「夜空ノムコウ」を思い出しつつ、
その後、下がっていくメロディながらもしっかりポップで
シャウトするような歌い方が入っていたり、
藤井風で流行りだした(と思う)方言的な言い回しが入っていたり、
「ヒット曲を作る人は流石だなぁ」なんて思っていた。
それが何度も聴いているうちに、歌詞に魅力を感じるようになったのだ。
特に出だしの
〝どこから春が巡り来るのか 知らず知らず大人になった”
自分には芥川賞作品の書き出しのように思った。
文学的で、なにか物語が始まるような期待感を感じるのだ。
男尊女卑が今よりずっと激しい時代の「春」を思い浮かべると
この一文だけでストーリーを表現できる力に震えてしまう。