音楽コラム <Vol.12> 寄稿:blackriver_k5
「First Time I Met The Blues」
それは忘れもしない、1985年10月26日。
高松オリーブホールにて、West Road Blues Band、Break Downを観たのが、初めてのブルース体験でした。
この時、ワタクシ17才!
日本の2大ブルースバンドを、一度に体験してしまい、その衝撃を引きずったまま、大学生となったのが、1987年。
5年間、東京で過ごし、当時来日したモノホンのブルースマンを、たくさん観ることが出来たのですが、初めて生で観たブルースマンは、第2回ジャパン・ブルース・カーニバル(1987)のBuddy Guy & Junior Wellsでした。
そんな訳で、今年(2021)で85歳、今も現役のBuddy Guyの代表曲の一つ「First Time I Met The Blues」を。
最初の吹き込みは1960年(チェス・レコード)ですが、個人的に一番好きな、American Folk Blues Festival '65の音源です。
トリオだからこその、“間”が、何とも最高ですね。
また、日本ではWest Road Blues BandやBlues House Blues Band(Break downの母体となるバンドで1990年に再結成)もこの曲をカバーしており、こちらも生で体験できました。
当時、来日したブルースマンはもとより、日本における熱い音も体験できたことは、本当にラッキーだったといえましょう。
そんな思いを抱きながら、1992年に高松に帰郷して以来、細々とでもバンド活動を続けられるのも、ブルースという音楽に理解あるお店があり、仲間がいるからにほかなりません。
そんな折、昨今のコロナ禍においては、バンド活動をしばらく休止しているのですが、その反面、改めてブルースという音楽を聴く機会を与えてもらっているという、強い感覚を覚えます。
ここ最近は、1920~30年代を中心に改めてブルースを聴きながら、何か大切なものを教わっているような気がしますし、特に、デジタル化やIT化が進むこのご時世、逆にエレクトリックに頼らない演奏に耳を傾けるのも良いのではないでしょうか。
そこで、先ほどの曲のオリジナル、ピアニストのLittle Brother Montgomeryによる「The First Time I Met You」(1936)を。
色んなレコードなどを聴いて、いつも感じているのは、Buddy Guyもそうですし、ほとんどのブルースマンは、演奏やインタビューなどからも、大切な文化を残すために抱いている先人を敬う気持ちが半端ないということです。
それは、国籍や人種に関係なく、大切なことだと思いますし、Buddy Guyが、Guitar SlimやMuddy Watersたちをリスペクトし続ける姿を見ても、やはり最後は、“義理・人情”なのだと思うところなのであります。
ブルースという音楽を聴き始めて30年以上経ちますが、なんか50歳を過ぎて、この音楽の素晴らしさが、ようやく少しずつ分かってきたような気がしており、これからもますます聴き続けていきたいと思いますので、次回また思いついたときに、お気に入りの曲を紹介できればと思います。
まあ、美味しいお酒を飲みながら、ゆっくり聴こうではあ~りませんか。