音楽コラム<vol.77> 寄稿:デビッド近藤

Music&Live RUFFHOUSE

2022/10/08 17:30

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「B.B. Kingの右手にキス」



10月の高松RUFFHOUSE音楽コラムは17歳の時に初めて聴いて以来、生涯の「音の道しるべ」となって自分の音楽の根底をいつも支えてくれる大きい存在ミスターBlues、王様「B.B. King」のことを書きたいと思う。このコラムにアルバート、バディガイを書いて、B.B.を書かないわけにはいかない❗


ジャズのことをチャーリーパーカー抜きで語るようなものだ。


B.B. Kingを聴き始めたのは17歳の時、当時、古いロックの話で気が合う高校生の友人が貸してくれた一本のB.B.の80年代のFMの番組のライヴを録音したカセットテープがきっかけだった。、ラジカセから聴こえて来たのは、当時の僕には「Jazzジャズ?」と、ジャズに聴こえた音サウンドだった。


その理由はおそらく、モダンなリフを奏でる派手なホーンが入ったアレンジと、チャーリークリスチャンや、ロニージョンソンからの影響を受けたB.B. King本人のギターの音色だったと思う。


しかし、10代のロック少年はそんな知識はあるはずもなく、「歌上手‼️」と、思った記憶が。ギターはホーンのような、太くシンプルな音で、サックスみたいに聴こえた。歌はこれまた、迫力満点かつ、優しさに溢れていて、当時の僕には「大人の世界」だった。バディガイを聴いた時同様、当時、聴いていたクリームのロックギターとは、全く異次元の世界というか、全く別物だと体感できた、素晴らしい音楽だった。


B.B. Kingのことを知りたくて、いろいろな雑誌や音楽書の記事を夢中になって読んだ記憶が今でも蘇ってくる。


BBはいつも時代の先端のサウンドを取り入れていてロックのイベントにもよく登場していたのが分かり嬉しく思った。ライブ・エイドやファーム・エイドでも演奏していて、ギターといえばコードやリフをかき鳴らしながら、リズムをキープして「弾き歌い」をするものだ・・、というのが僕の中の常識だった。


でもB.B. Kingは「ギター~歌」、「歌~ギター」という感じで合いの手のような感じでプレイし、歌っている時はギターを止めているのが、一番目にとまったし、当時の僕には個性的に映った。そして、50歳を越えた今でも僕は、そのやり方をやろうとしている。


それから、自分もバンドの世界に味を踏み入れ、20代の頃、ついに当時のブルーノート大阪で生のB.B. Kingを観た。彼の真っ正面でかなり間近に本物を体感できる席で観ることができた。


まず、バンドがインストで演奏し、ジェームスブラウンのような演出、MCの紹介でステージに登場したBBは「キューーーーン‼️」と一音(ワンノート)を愛器ルシールで弾き出した。それは、サックスのハイノートのような感じで、17歳の時「サックスみたい!」と感じたことは、その通りだったんだと感じた。


大所帯のバンド従えてルシールを弾き、歌が入り、観客をも「演奏している」彼のステージを観れたことは、宝物のような体験だった。今でも感謝している。


ステージの後半クライマックス、ショーマンシップとサービス精神に溢れた彼は客席へ向かう。ポケットからギターのピックを配る、握手をして会場を歩いてまわり、僕と妻のところでピタリと止まってくれた。僕は心臓が止まりそうになったが、僕ほどB.B. Kingに思い入れのない妻はこともあろうか、僕のヒーローの右手を握りしめ、キスをした・・・。


周りは笑顔や笑い声が渦き、B.B.は目玉を大きく開けて、ハンカチで自らを扇ぐポーズで、「照れ」を演出してくれた。隣の僕にはピックをくれ、軽く握手してくれただけだった・・。やはり、ブルースマンは女優先、レディーファーストだと体感した。


その後も彼は生涯ブルースをルシールで奏で、歌い続け、生涯を終えた。僕も、彼の音楽で人生は変わったと思う。ありがとう王様、B.B. King!



では、また、Blues is alright デビッド近藤

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