音楽コラム<vol.55> 寄稿:Eloiseカポノ
僕のファイバリットシンガー NO.2
“JoJo by Boz Scaggs
from album “Middle Man”(1980)
ボズ・スキャッグス。
洋楽好きの方はご存じのお名前だと思うが、1944年6月8日オハイオ生まれ、シスコの顔役と呼ばれたダンディ~Manもなんと、堂々と後期高齢者の78歳!
生ボズを初めて観たのが、42年前の10月、僕が20歳、彼が36歳の時だった。月日の経つのも早いものだ!
彼の音楽との出逢いは、そこから遡ることさらに4年。当時、FM大阪の夕方6時からやっていた田中正美さんの番組「ビート・オン・プラザ」で「Silk Degrees」がオンエアされた時だった。この番組は、主に日本発売前の新譜をまるまる1枚流してくれる番組で、高校生には、おいそれとLPを何枚も変えない時代(お金持ちのおぼっちゃまは買えたかもしれないけど、そんなやつを何人か知っている)ほんとありがたい番組だった。
この「Silk Degrees」は、R&Bチャートで大ヒットした「LOWDOWN」は別格として、全体を通して聴きやすいけれども、あくまでもシャレた白人のR&Bアルバムだと思った。AORという言葉は、まだ1976年には存在しなかったが、このアルバムでAORの蕾が膨らみ、次作「DOWN TWO THEN LEFT」で開花し、そして「MIDDLE MAN」で一気に満開となった。
そんな中での2度目の来日。名古屋公演は、なんと1980年10月10日(体育の日)と翌週10月16日の2回公演。こんなことは珍しい!
もちろん、2回とも観に行った。この記事を書くにあたって、コンサートプログラムを広げてみると、その中から、レポート用紙に鉛筆書きされたセットリストが出てきた。その用紙には、他に「リカード、人口増加→好況・拡大→穀物価格高騰→賃金上昇→利潤率低下→蓄積→投資」と記されていた。おそらく大学の授業が終わってコンサートを観に行ったのだと思う。
※リカードはイギリスの経済学者です。
待ちに待った開演時間!薄暗い中、メンバーがぞろぞろ入ってきて、客席から拍手が沸き起こる。それぞれの立ち位置について、ギターのイントロが騒めきの中、鳴り響き、イントロが終わると同時にスポットライトがステージ中央上段に立つ人物に照らされた。そこには、ギターを抱いた少しダンディーな高田純二にそっくりなBOZ様が立っていた!
オープニングは、「MIDDLE MAN」から「Breakdown Dead Head」
自分も含め、客席のボルテージが一気に上がったのは、言うまでもなかった。今でも、この曲のイントロを聴くたびにその時の情景が浮かび上がってくる。
最近手に入れた、その時の来日公演の演奏を収めた海賊版。残念ながら、名古屋ではなく武道館の音源(セトリも順番が若干相違)だが、聴いたらよりいっそう当時の記憶が蘇ってきた。おまけに、その時の模様は当時、ダイジェストとしてテレビで放送されたんだが、その映像も浮かんできた。ホント、人間の脳ってスゴイと思った。
今回、コラムを書くにあたり、Youtubeで出てきた映像が、すごい!なんとその当時のメンバーに、デビッド・フォスター、ジェイ・グレイドンが絡んだ演奏。これは必見!
BOZが最後に来日したのは、3年前の5月。コロナも落ち着いてきたことだし、そろそろ最後の来日をして欲しいと切に願うばかりだ!
1980年10月16日 名古屋市民会館(セットリスト)
Breakdown Dead Ahead
What Can I Say
Hard Times
Angel You
Harbor Lights
Simone
Georgia
Middle Man
Do Like You Do In New York
Isn't It Time
Look What You've Done to Me
Jump Street
Lido Shuffle
We're All Alone
You Got Some Imagination
JoJo
Low Down
You're Mine
You Can Have Me Anytime